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リンス・コンディショナー・トリートメントは何が違うの?

シャンプー売り場を見ると、リンス・コンディショナー・トリートメントなど、似た名前のものがたくさんあります。
「結局、何がどう違うの?」と感じたことはないでしょうか。

実は、この3つにははっきりした役割分担があります。
しかも、正しい順番と自分の髪に合った使い方を知っているかどうかで、仕上がりは大きく変わります。

ここでは、
・髪のしくみ
・リンス、コンディショナー、トリートメントの違い
・髪質別、ダメージ別の使い分け
・注意しておきたいトラブル
をまとめていきます。

もくじ

髪のしくみと「ダメージ」が起こる流れ

髪は「死んだ細胞のかたまり」です。
皮膚と違って自分で治る力がないので、ヘアケアの役割は「治す」ではなく「補修して守る」ことです。

髪の3つの層

髪の断面は、ざっくり言うと次の3つからできています。

  1. 一番外側:キューティクル
    ・うろこ状に重なった硬いタンパク質の層
    ・健康な髪ではきれいに重なっていてツヤと手触りの良さを作る
    ・表面は脂質におおわれ、水をはじく性質がある リンスやコンディショナーが主に働くのは、このキューティクルのあたりです。
  2. 真ん中の厚い部分:コルテックス
    ・髪の大部分を占めるところ
    ・髪の強さ、太さ、弾力、色などを決める
    ・パーマやカラーの薬剤が作用する場所 トリートメントが本気でケアしたいのは、このコルテックスです。
  3. いちばん中心:メデュラ
    ・太い髪にだけあることが多い芯の部分
    ・はっきりした役割はまだよく分かっていない

髪の「接着剤」CMC

髪の中には、細胞と細胞のすき間をつないでいる脂質の層があり、これをCMC(細胞膜複合体)と呼びます。

・髪の細胞同士をくっつけるのりのような役割
・水分や成分が出入りする通り道にもなっている
・ここが壊れると水分保持ができなくなり、パサつきにつながる

ダメージは外から内に進む

髪の傷みは、だいたい次のような順番で進みます。

  1. 表面の脂質がはがれる
    ・紫外線、摩擦、洗いすぎなどで表面の脂の膜が取れる
    ・ツヤがなくなり、きしみやゴワつきが出はじめる
    → リンスやコンディショナーだけでもかなり改善できる段階
  2. キューティクルが浮き、CMCが流れ出る
    ・カラーやパーマ、コテやアイロンの熱でキューティクルがはがれやすくなる
    ・水分を保てなくなり、パサつきが目立ってくる
  3. 内部タンパク質が抜けてスカスカに
    ・コルテックスの中身が抜けて空洞ができる
    ・切れ毛、枝毛、テロテロした手触りになる
    → 表面ケアだけでは足りず、トリートメントによる内部補修が必要

リンス・コンディショナー・トリートメントはどう生まれたか

少し歴史を知ると、それぞれの役割が分かりやすくなります。

昔のシャンプーと「リンス」のはじまり

昭和のはじめごろ、髪を洗うのは主に石けんでした。
しかし石けんで髪を洗うと

・アルカリ性でキューティクルが開き、髪がゴワゴワ
・水の中の金属イオンと反応し、「石けんカス」が髪に付着

という問題がありました。

そこで登場したのが「酸性リンス」です。

・お酢やクエン酸などの酸でアルカリに傾いた髪を弱酸性に戻す
・石けんカスを分解して落としやすくする

このころのリンスは、「栄養補給」ではなく、完全に「中和剤」でした。

合成シャンプーの登場とコンディショナー

その後、石けんではなく合成界面活性剤を使ったシャンプーが広まりました。
泡立ちも良く、石けんカスも出ませんが

・洗浄力が強く、油分を取りすぎる
・髪がマイナスに帯電し、静電気でパサつく

といった新しい問題が出てきました。

そこで、プラスの電荷を持つ成分(カチオン性界面活性剤)を使った
「髪をまとまりやすく整えるリンス・コンディショナー」が登場します。

・マイナスに帯電した髪に引き寄せられてくっつく
・薄い油膜を作って手触りを良くし、静電気をおさえる

この「髪の状態を整える(コンディションを良くする)」役割から
コンディショナーという名前が広まりました。

ダメージ時代とトリートメントの誕生

1980年代以降、カラー、パーマ、ブリーチ、コテ、アイロンなどがあたり前になり、
髪の表面だけでなく内部まで傷んでしまう人が増えました。

そこで必要になったのが

・髪の中にまで入り込んで
・タンパク質や脂質を補う

という「トリートメント」という新しいジャンルです。

現代のリンス・コンディショナー・トリートメントの違い

今の市場では名前の使い方がバラバラですが、機能で見ると次のように整理できます。

・リンス、コンディショナー
→ 主に「表面を整える・守る」もの
・トリートメント
→ 「内部を補修する」ことをねらったもの

リンス

・髪のきしみや静電気をおさえ、表面をなめらかにする
・さらっとすすぎやすく、軽めの仕上がり
・内部まで何かを補う力はほとんどない

今では、コンディショナーとの境界はかなりあいまいで、
商品によってはほぼ同じ意味で使われています。

コンディショナー

・リンスより濃いコンディショニング成分が入っている
・髪表面にしっかりした膜をつくり、手触りやツヤをアップ
・アミノ酸などの保湿成分が入っていることも多いが
主な役割は「表面を守る」「キューティクルを整える」こと

イメージとしては
リンスより「守りの力」が強い表面ケア用品です。

トリートメント

・髪のタンパク質に似た成分(ケラチンPPTなど)や
脂質(セラミドなど)を多めに配合
・分子サイズを調整し、キューティクルのすき間から中に入れるよう設計
・時間をおいて使うことで、内部にとどまりやすくされている

「中身を埋めながら、表面もある程度コートできる」
という、攻めと守りを兼ねたケアがトリートメントです。

成分をざっくり理解しておこう

全部覚える必要はありませんが、よく出てくる成分だけ簡単に整理します。

ベースになる成分(カチオン性界面活性剤)

・髪にくっつく役割を持つ、プラスの電荷の成分
・リンス、コンディショナー、トリートメントのどれにも入っている

種類によって仕上がりが違います。

・第4級アンモニウム塩
しっとり重め。ダメージケア系に多い。頭皮への残りすぎに注意。

・第3級アミン系
ややマイルド。軽い仕上がりに向く。

補修成分(トリートメントの中身)

・PPT(加水分解ケラチンなど)
小さいものは内部に入りやすく、髪の密度アップに。
大きいものは表面にくっつき、キューティクルの代わりの膜に。

・CMC類似成分(セラミド、コレステロールなど)
髪の「接着剤」や「水分の通り道」を補う役割。
しっとり感や柔らかさに関係します。

・ヘマチン
ケラチンと結びついて強度アップを助ける成分。
カラー後の残留物質を減らすはたらきもあるとされます。

コーティング成分(シリコーンやオイル)

・シリコーン
髪表面にとても薄く広がり、摩擦を減らし、ツルツル感を出す。
ダメージ毛の指通り改善に大きく役立つ成分です。

・植物オイル
ツバキ油、アルガンオイルなど。
シリコーンより重さが出やすく、しっとりまとまりやすい仕上がりに。

正しい順番は 「シャンプー → トリートメント → コンディショナー」

よく迷われるのが使う順番です。
科学的にいちばん理にかなっているのは、次の流れです。

  1. シャンプー
  2. トリートメント
  3. コンディショナー(またはリンス)

理由は「内側から外側へケアする」ほうが効率が良いからです。

・シャンプー
汚れを落としながら、髪を少し膨らませてキューティクルを開く

・トリートメント
キューティクルが少し開いた状態を利用して、
内部にタンパク質や脂質を入れ込む

・コンディショナー
最後にキューティクルを引き締めて表面をコートし、
内部に入れた成分が流れにくいように「フタ」をする

先にコンディショナーをしてしまうと、
表面がしっかりコーティングされてしまい、
そのあとにトリートメントをのせても中に入りにくくなります。

髪のダメージレベル別おすすめプロトコル

自分の髪の傷み具合で使い分けると、ムダなケアが減らせます。

レベル1:ほぼ健康〜軽いダメージ


・カラーはしていない、または年に1回程度
・大きなトラブルはなく、少しパサつく程度

おすすめ
・シャンプー + コンディショナー(またはリンス)

内部ダメージが少ないので、表面を整えるだけで十分なケースが多いです。
毎日重いトリートメントを使うと、かえってベタついてペタッとすることもあります。

レベル2:中程度のダメージ


・定期的にヘアカラーをしている
・毛先のパサつきやひっかかりが気になる

おすすめ
・シャンプー + トリートメント(毎日〜週数回)

最近のトリートメントは表面コート力も持っているものが多く、
コンディショナーなしでも仕上がることがよくあります。

レベル3:強いダメージ


・ブリーチ、縮毛矯正、度重なるパーマ
・切れ毛、枝毛が多く、手触りがテロテロ

おすすめ
・シャンプー + トリートメント + コンディショナー

トリートメントで中身をできるだけ埋めてから、
コンディショナーで上からしっかりフタをする
「ダブルケア」が有効です。

「トリートメントinコンディショナー」の立ち位置

よく見かける「トリートメントinコンディショナー」は

・コンディショナーをベースに
・少しだけ内部補修成分をプラスしたもの

というイメージです。

・時間がない日、毎日の簡単ケアとしては便利
・ただし、重いダメージ毛をしっかり補修するにはパワー不足になりやすい

ブリーチなどで大きく傷んでいる場合は、
別で集中トリートメントやヘアマスクを使ったほうが安心です。

インバスケアとアウトバスケアの役割分担

ヘアケアは「お風呂の中」と「お風呂の外」で役割が違います。

・インバス(洗い流すケア)
シャンプー、トリートメント、コンディショナーなど
・アウトバス(洗い流さないケア)
オイル、ミルク、ミスト、クリームなど

イメージとしては
・インバス:髪の中身を整える作業
・アウトバス:整えた中身を日常のダメージから守る包帯

どちらか一方だけでは十分ではありません。

・インバスだけ
→ ドライヤーの熱や摩擦で、せっかく入れた成分が抜けやすい
・アウトバスだけ
→ 中身がスカスカのまま、表面だけコートしている状態

「インバスで満たし、アウトバスで守る」
この2段構えが理想です。

アウトバストリートメントの選び方

アウトバスは主に

・オイル
・ミルク
・ミスト

の3タイプに分けられます。

ヘアオイル

・油分がメイン
・水分はほとんど含まない
・コーティング力が高く、水分の蒸発を防ぐ
・ドライヤーやアイロンの熱から守る役割も大きい

向いている髪
・剛毛、多毛、くせ毛、ハイダメージ毛
・広がりやパサつきを抑えたい人

注意点
・水分を足す力はあまりないので、
もともとカラカラに乾いた髪にオイルだけを重ねると、
中は乾いたまま表面だけテカテカになることもあります。

ヘアミルク

・水と油を混ぜた乳液タイプ
・水分と油分をバランスよく補給しやすい
・水溶性の補修成分も入れやすい

向いている髪
・乾燥しやすい髪
・硬くて柔らかさが欲しい髪
・パーマスタイルの保湿

質感としては、オイルより軽く、ミストよりしっとりした「中間」です。

ヘアミスト

・水がメインのスプレータイプ
・浸透が速く、寝ぐせ直しにも便利
・油分が少なく、仕上がりが軽い

向いている髪
・猫っ毛、細毛、軟毛
・ペタッとしやすい人

持続性はあまり高くないので、
ミストで軽く整えたあと、毛先だけ少量のオイルを重ねるなど
組み合わせて使うのがおすすめです。

髪質別のおすすめ戦略

猫っ毛・細毛・軟毛

悩み
・ボリュームが出ない
・すぐペタッとする
・絡まりやすい

おすすめ成分
・ケラチン系のPPT
→ 髪の中身を少し増やし、ハリとコシを出す
・ヘマチンなど、髪を強くする補助成分

避けたいもの
・重すぎるオイルやバター系成分
・シリコーンたっぷりの重たいトリートメント

選ぶときのキーワード
「ハリ・コシ」「ボリュームアップ」「ふんわり」など

剛毛・多毛・硬毛

悩み
・広がる
・硬くてまとまらない
・パサパサして見える

おすすめ成分
・植物オイル(ツバキ油、アルガンオイルなど)
→ 髪に重さをプラスして、広がりをおさえる
・CMC類似成分(セラミドなど)
→ 水分をキープしてしなやかさを出す

選ぶときのキーワード
「しっとり」「モイスト」「まとまり」「広がりを抑える」など

ヘアマスクタイプのトリートメントを
週1〜2回取り入れるのも良い方法です。

ハイダメージ毛(ブリーチ・矯正・熱ダメージが強い髪)

悩み
・切れ毛・枝毛が多い
・水分を全然キープできない
・ゴムのようにびよ〜んと伸びる

必要なものは全部のせに近いです。

・ケラチンPPT
→ 中身の強度アップ
・CMC類似成分
→ 髪の接着と水分保持
・しっかりしたコーティング成分(高重合シリコーンなど)
→ 擬似キューティクルとして髪を守る

使い方の例
・お風呂で濃厚なインバストリートメント
・タオルドライ後にミルクで保湿
・毛先中心にオイルでフタをする

という「ミルフィーユ塗り」のような重ね使いが効果的です。

シリコーンの「たまりすぎ」問題と対策

シリコーンは悪い成分ではなく、摩擦を減らすうえでとても優秀です。
ただし問題になるのは「たまりすぎ(ビルドアップ)」です。

起こりやすい例
・洗浄力のやさしいシャンプーを使っている
・シリコーン配合のトリートメントやオイルを毎回たっぷり使う

すると
・髪がどんどん重く、ベタッとしてくる
・トリートメント成分が髪の中に入りにくくなる
・カラーやパーマの薬も入りにくくなる

対策
・ときどき洗浄力強めのシャンプーでリセット洗いをする
・トリートメントやコンディショナーは、ぬるつきがなくなるまでしっかりすすぐ

必要な成分は髪にしっかり吸着するように作られているので、
よく流しても全部落ちてしまうわけではありません。
すすぎ残しの方がトラブルの原因になります。

ファンヒーターと揮発性シリコーンの注意点

少しマニアックですが、知っておくと安全に役立つ話です。

アウトバストリートメント、とくにオイルタイプには
「揮発性シリコーン」という成分が使われていることがあります。

これがドライヤーの熱などで空気中に飛び散り、
同じ部屋で石油ファンヒーターを使っていると、
ファンヒーターの中に吸い込まれてセンサー部分にたまり、
誤作動の原因になることが知られています。

対策としては

・ファンヒーターを使う部屋では、ドライヤー時のヘアオイル使用を控える
・どうしても同じ部屋で使うなら、しっかり換気する

などが大切です。
多くの製品には説明書きがあるので、一度チェックしてみてください。

まとめ:髪を科学的にケアするための3つのポイント

最後に、押さえておきたいポイントを整理します。

  1. リンス・コンディショナーは「表面ケア」、トリートメントは「内部ケア」
    ・リンスとコンディショナーの差は、今ではかなり小さくなっています。
    ・どちらも基本は「表面を整える・守るもの」
    ・トリートメントは「内部成分を補うもの」として別物と考えると理解しやすいです。
  2. 順番と組み合わせで効果が大きく変わる
    ・基本は「シャンプー → トリートメント → コンディショナー」
    ・ダメージが軽い人はコンディショナー中心、
    強い人はトリートメントとコンディショナーのダブル使いが有効です。
    ・インバスで中身を補い、アウトバスで守る、という役割分担を意識しましょう。
  3. 名前よりも「成分」と「自分の髪質」を見る
    ・パッケージのキャッチコピーだけで選ばず、
    ケラチン、セラミド、植物オイル、シリコーンなどの中身を見る習慣をつけると、
    自分に合うアイテムが見つかりやすくなります。

リンス、コンディショナー、トリートメントの違いが分かると、
同じアイテムでも「なぜこれをこの順番で使うのか」がはっきり見えてきます。
今日からは、髪質とダメージレベルに合わせて、
自分だけのヘアケアプロトコルを少しずつ組み立ててみてください。

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