MENU

なぜスペードのエースだけ大きく描かれているのか

トランプの中で、どうしてスペードのエースだけ特別に大きく、装飾までついたデザインになっているのか。この理由は、カードゲームの都合ではなく、昔のイギリスで行われていた税金制度にあります。

結論として、スペードのエースが大きく描かれているのは、かつてこのカードが「税金を払った証明書」として使われ、必要な情報を載せるためにデザインが大きく複雑化したためです。

もくじ

税金の証明として選ばれたカードだった

1700年代、イギリスは戦争費用などをまかなうため、トランプに税金をかけました。その際、「どのカードに納税した証を残すか」という問題がありました。そこで選ばれたのがスペードのエースです。

理由は単純で、カードを束ねるとき、一番上に置く決まりがあったため、税務官が押印しやすかったからです。この時点でスペードのエースは「特別扱い」が始まりました。

情報を詰め込むために絵柄が巨大化した

偽造が増えると、政府はより厳しい対策を取りました。1765年から、カード会社は自分たちでスペードのエースを印刷することを禁止され、政府が作った公式のスペードのエースを購入し、デッキに入れなければならなくなりました。

この政府製のカードには、次のような情報をすべて載せなければなりませんでした。

・王室の紋章
・税金の額
・君主の名前
・管理番号

こうした情報を1枚にまとめるため、中央のスペードマークはどんどん大きくなり、その周りに細かい装飾が施されていきました。これが、現在の「大きくて華やかなスペードのエース」の原型です。

偽造防止のための豪華なデザイン

スペードのエースが公文書として扱われていたため、偽造は重罪で、死刑になることもありました。そのため政府は、紙幣レベルの技術を使った非常に複雑なデザインを導入しました。

複雑な模様や細かい線、王室の動物の紋章などを組み合わせたデザインは、偽造を防ぐための工夫でした。それが結果的に、他のカードにはない豪華さを生み出すことになります。

税金制度が終わった後も大きなデザインが残った理由

1862年に税金制度が廃止され、もうスペードのエースを特別にする必要はなくなりました。しかしカードメーカーは、元のシンプルなデザインには戻しませんでした。

理由は次の通りです。

・豪華なスペードのエースは「品質の証」として信頼されていた
・デザインが会社の商標として使われるようになった

こうして、スペードのエースは「ブランドの象徴」としての役割を持ち続け、独自の装飾が今も守られています。

まとめ

スペードのエースだけが大きく描かれているのは、じつは次の流れによるものでした。

・かつて税金の証明として選ばれた
・税金や王室の情報を載せるため、絵柄が大きく複雑になった
・偽造防止のための豪華なデザインが定着した
・税制が廃止されてもブランドの象徴として残った

つまり、スペードのエースの大きな絵柄は、国家の税金制度とカード産業の歴史が残した名残なのです。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

もくじ